(山口市維新公園の百日紅の花 2022年8月21日撮影)
「行政書士の山根さんですね。以前農地のことで来ていただいたAです。私のところの1反くらいの農地を太陽光に利用できませんかね?」と、Aさんから電話が架かってきたのは、7月の終わりになるころでした。
Aさんのお家には、昨年と一昨年に太陽光発電のための農地転用で2回行きました。そのことを覚えておられたのでしょう、「他に誰も頼る人がいないから。」と言われて、荒れた農地の活用を依頼されたのでした。随分足腰が弱っておられて、娘さんの介助が必要だなと思い、「70歳代から行っても80歳代」と思っていると、91歳とのことでした。
私は、早速昨年、一昨年のいずれも広島の太陽光の業者に連絡を取り、Aさんの自宅に行って話をしてもらう段取りをつけました。話が成立したら、農地転用など太陽光発電に関する行政書士としての仕事をしようと考えていました。
しかし、近所に住む60歳代の娘さんとも話すにつれ、「広島の業者ときちんとした話ができるのだろうか?」という疑問が生じてきました。広島の2社は、私が一緒に仕事をして十分に信頼できる業者であると感じていましたから紹介したわけですが、果たして91歳のAさんと60歳代の娘さんだけで、お互い満足いく話し合いができるのだろうか、不安になりました。
今回のケースは、Aさんの立場に立ち業者との間に入って、話し合いのお手伝いをした方がいいのかもしれないと思い、Aさんと娘さんに「私が相談役として、間に入りましょうか?」という提案をしました。Aさんたちは、「ぜひお願いいたします。」と、安堵した表情をされました。
Aさんの手持ち資料(固定資産税通知書、公図のコピー)を見せてもらい、現地の農地を見せてもらいました。面積は、1反(1000㎡)はなく、800㎡程度、自己管理できないため、年2回草刈を依頼していると言います。何も生産していない田に対して、草刈代だけで年8万円程度かかるといいます。ただ、太陽光発電にしては、単独農地では狭く他の人の農地と合わせて考える必要があるかもしれません。
私は、広島から業者が来る前に、登記情報として全部情報と公図を請求して、分かりやすく整理しておきました。また、娘さんと現地を見たときの写真をA4用紙に張り付けしておきました。
広島から来た業者は、事前に情報を入れていたので、他の山口の仕事がある日に1泊2日で来たといいます。(もう1社は、事前の話で、断りを入れてきました。)結論は、やはり、面積が少ない、田の周りに水路がある、形状が四角でなく三角であると、太陽光の用地としては不適であるとなりました。ただ、Aさんも娘さんも納得して、結論を受け入れました。
私は、市の農業委員会に、事前に「中間管理機構」の質問をしていました。ホームページにも出ていますが、このような遊休農地の売り買いのマッチングをしてくれるシステムです。私が、市の農業委員会にいたころに出来たシステムですから10年位になります。ただ、売り手が買い手を見つけてこないと成立は難しいとのことで、十分には機能するまでには至っていないのが現状のようです。
Aさんと娘さんには、「中間管理機構」のホームページのコピーと説明をしました。
今回は、成立とはならず、荒れた農地の問題解決にはなっていないわけですが、今後高齢化もますます進む中で、このような相談役は必要になっていくと感じました。
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